第28話

もうすぐハロウィンだ。俺も仮装したいな。エロいナースの格好するか。男だからドクターか。エロいドクターって完全にサイコ野郎じゃないか。

 

後輩から送られてきたESに

「あなたの人生のピークはいつだったと思いますか」

「あなたにとっての永遠の課題は何ですか」

という設問があった。俺が人事でも同じことを聞くかも知れない。まあそれはさておき、時々考える。今はピークだろうか。どん底だろうか。どちらでもないのなら、上り調子なのだろうか、それとも逆だろうか。まあその辺は時の運なわけだが、

あくまで俺の実感としては、だ。禍福は糾える縄の如しとはよく言ったもので、良いことも悪いことも交互に訪れる。ただ、全体としてみれば逓減とでも言うか、プールで長い距離を泳ぐときのように、浮いては沈んでを繰り返しながら、少しずつ少しずつ沈んでいる。もがけば沈む、何もしなくても沈む、そんな気がするのはネガティヴだからなのか。

とにかく、どうして流砂に飲まれたのかを考えるのが俺にとっての課題だ。それが解決しない限りは、頭の中にいるもう一人の自分も消えないだろうし、死ぬこともできないだろう。負けたままにしておくのは苦手だ。

 

祖母が美味しいお茶の葉を買ってきた。少し冷まさないと香りが飛ぶらしいけど、熱々の方が美味しいと思ってしまうな。冷ましたやつは、どうもぬるくなったお茶のような気がして。何事も「適度」が一番なのは知ってるけど、意図的に作った「適度」ほど愛着のわかないものはない。服を選ぶときもそう。ゲームのキャラを育てるときもそう。「玄人っぽさ」には、いつもこの罠が仕掛けられている。そして分かっているのに、いつも引っかかる。