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第27話

従姉妹が遊びに来た。近頃なかなかませてきて、俺の携帯のSNOWをずっといじってる。ちなみに俺のお気に入りは前髪と眼鏡が追加されるエフェクトだ。女の子になれる。

すごく楽しそうに盛り上がってたけど、俺は風邪を引いてたからうつさないように、一日中、テレビの前にいた。気まぐれで見始めたハリーポッターだけど、止まらないな。アズカバンの囚人の途中で、ケーキを買ってきてくれた。たまには風邪も引いてみるもんだ。

手塚治虫のMWを読んだ。手塚作品は重い内容が多いというか、基本的にバッドエンドだけど、でも鬱になるとか悲しくなるとかではなく、ただ心が抉り取られる。読み終えた後、虚無感に包まれる。失恋に似た感じだ。何か大切な物を失った気になるんだろうな、モラルとか、アイデンティティとか、自分の形を保つために必要な物を。

上巻の最後に花村萬月の「二元論の罠を逃れて」というエッセイがあった。

「だが、二元論的割り切りは、常に誘惑の甘い匂いを放っているのだ。そして、思考のなかに巧みに忍びこんでくる。」(花村、296頁)

確かにそうだな。要は甘えというか、考えることを放棄した結果が二元論だから、頼りすぎると心が貧乏になる。「よそはよそ、うちはうち」こそが、個性を履き違えた近代的な差異化欲求の根源であり、同時に個性を殺す同一化欲求の根源でもあると思う。

けれども、世界を見やすい角度から見たり、都合よく見たりする力も必要だと思う。能力的にはいくらでもズームできるんだけど、その中で一番ピントの合うのが二元論だった、というのは果たして甘えと言えるだろうか。ボールペンの芯とかと同じで、細い方がいいときも、太い方がいいときもあると思うんだ。

友人が教習所で躓いているらしい。ハンドルの切り具合がわからなくて、そもそもコースの周回ができないんだけど、ハンドルを見ると「前を見て〜」と怒られ、流されるらしい。その日の課題をやって終わり、となるんだと。あれ、よくないよな。お役所仕事というか。確かに、しっかり教わりたい人よりも、さっさと卒業したい人の方が多いんだろうけど。男の場合、運転は出来て当たり前みたいなとこあるから、「上手いか下手か」っていうのは死活問題なんだよな。

最近、幼馴染みのグループとよく遊ぶ。男5人、女1人だ。紅一点の選ぶ「結婚したいランキング」は俺が1位だった。嬉しいけどこれって、結婚できない人あるある、だよな。幼馴染みと結婚って、楽しそうだな。この世で一番祝福される結婚の形だろうな。お互い30まで余ってたら結婚しようってことにしてきた。

朝が寒い。頼むから、シャワー浴びるときだけ手加減してくれ、どうか。