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第35話

朝、息が白かった。冬の匂いもした。ストーブが恋しいね。あとおでんも恋しい。

ニット帽をかぶる季節は、髪を整える必要がないから楽だ。普段、寝癖直しを兼ねてシャワーを浴びているわけだけど、寝癖を直す必要がなくてもシャワーは必要だ。なんていうかルーティンだ。思えば俺の生活はルーティンだらけだ。いつも同じコンビニで同じお茶を買う。同じ道を使う。同じような曲から一日が始まる。心を落ち着けるためではない。同じ「物」の中にも、毎日変わるものと変わらないものがあって、それを観察するのがなんとなく好きだからだ。毎日同じことをしていると、小さな違いにも気付きやすい。シャンプーとリンスの位置が逆になっているだけでも「何かがいつもと違うな」と感じる。違和感の正体に気付いた瞬間がたまらないんだ。アハ体験ってやつだな。

中間試験を一つ片付けた。手応えは良い。しかし次が人生で最後の中間試験なんだな。なんとなく寂しい。中間試験ってすごく「大学生」という感じがして好きなんだよな。なんかこう、大事な試験なのに力まずに勉強できる感じ。

昨日、いとこの誕生会をした。女の子二人の、妹の方だ。11歳。俺の半分だ。半分か。それはさておき手袋をあげた。リボンのついた可愛い袋だったから、電車に乗るとき恥ずかしかった。「汚したくないから家でつけよう」って、それじゃ意味がない。どんどん汚してくれればいいさ。お姉ちゃんは中学生になって、口を開けば部活の話ばかりしている。うちの弟は最近、サークルを調べ始めたり、バイトを探したり。みんな俺の通った道だ。俺は親戚の子供の中じゃ最年長だけど、こういうのが最年長の美味しいとこだ。