第23話

どうやって書いてるの?と聞かれた。最近その手の質問が多い。メモはすることもあるけど、結局使わない。日記だから思いついたことは全部書く。日中考えたことは思い出せたら書く。文がコラム調だと言われたが、それは癖。ただ俺なりに、心の中の色と文の色を統一しているつもりではある。自分と話すときの口調に近いと言えばいいのかな。毎日じゃないのは億劫だからではなく、書けないから。便秘みたいなもんだ。

夜風が冷たくなってきた。寒い。厚着が好きだ。もっと言うとマフラーが大好きだ。あとセーターも。冬の匂いっていいよね。コンビニでホットコーヒーを買ったら、くじを引かされた。アイスコーヒーが当たった。なんだかな。モテる奴というのはこういう気持ちなのだろうか。

久々にドイツ語の教科書を開いた。何ひとつ覚えていない。正確には、汚い言葉だけ覚えている。これが人間の限界だと痛感した。都合のいいことだけ覚えている。そうだったらいいのにな。悲しいとき思い出すのは毎回同じ言葉、同じ光景だ。でもすごく嬉しかった言葉は、それ以上に覚えている。もちろん。だから生きていけるんだね。俺を支えてくれるのは「あの頃に戻りたい」だ。

明日は朝から犬とお留守番だ。一緒に梨食べような。散歩しながら俺の話聞いてくれよな。

追記

さっき自分の写真を見たら、父と母がミックスされた顔で嬉しかった。最近父にも似てきたらしい。自分を見つめるのも、親を想うことに繋がるかもしれない。