第12話

朝が寒い。朝シャン族には辛い季節だ。

弟の誕生日祝いがまだだった。ちょっと高いシャーペンをあげた。俺がニューバランスを買う金は、なくなった。まあいいや、嬉しそうだったし。大事に使えよ。

バイト嫌だな。嫌すぎてビルに入れなかった。近くの公園まで戻って、ベンチでタバコを吸った。日本人の彼女が、外国人の彼氏に日本語を教えていた。雨だったが、とてもきれいな世界だった。誰かと一緒に見たかった。友達にしろ、彼女にしろ、同じ物に感動できる人は宝だ。


バイトは暇だった。同期の女の子と駅まで歩いた。最近ついてないらしい。ほら、傘忘れたときに限って雨が降ってくる、って。俺はついてるな。傘をさして歩いた。

こういう小ラッキーくらいのやつが、たくさん降ってくる人生を送りたい。大ラッキーや中ラッキーは、まあ明るく生きてれば向こうからやってくる。でもそういうのって、幸せとは別のところにある気がするんだよな。


12月にアメリカへ行くことになった。また友人と二人だ。いい加減見飽きた。たぶん向こうも同じことを思っている。

やっと最寄り駅に着いた。今日はすぐ寝よう。