第4話

早起きをした。朝早く目が覚めただけなのだが、今日は夜勤だから(正確には夜勤明けの明日は起きてないようなものだから)、一日を長く過ごそうと思って起きた。コーヒーを飲んだら眠気が吹き飛んだ。頭もこれくらい単純だと助かる。

母の職場に連れて行かれた。平たく言えば保育施設だ。何にシンパシーを感じたのか、たちまち俺の周りはちびっ子でいっぱいになった。必然的にママさん達ともたくさん話した。年齢を聞かれて22と答えると、「え!私24!」「私23!」と盛り上がった。そうきたか。友達の彼女より若い。

夜勤の準備。タオル、歯ブラシ、勉強道具。そういやこの前、後輩の女の子は化粧水と乳液も持っていくって言ってたな。ワークライフバランスの権化みたいな子だ。

久々に百人一首のゲームをやった。どうしても紀貫之に勝てない。俺は「滝の音は」が好きだ。歌の中身よりも、歌った藤原公任の名前が好き。公任(きんとう)って、なんかよくない?