第32話

相変わらず熱が下がらない。一日中、本当に一日中家にいて考え事をするのも、まあいいもんだ。 卒論をサボらないように、常にモチベーションを保とう。今日は家庭用ガス(東京ガス管内)の逆需要関数を推定するために、重回帰分析を使って、ガス需要の価格弾…

第31話

麻雀をした。とんでもなく運が良かった。嬉しいけど、そっちじゃないんだよなあ、噛み合わないなあ。 卒論の第1稿をあと3週間で書かなければいけないらしい。まあ無理だ。なんせ構想だけで他は何もしてない。生きてくってそういうもんじゃないのかな。少しの…

第30話

親父の夢を見た。いつも同じ夢だ。どこかの遊園地にあった、さびれたゲームセンターで、一緒にUFOキャッチャーをやっている。あれはどこの遊園地だったか、いつも思い出そうとするんだけど、いつも思い出せない。そしていつも「見られなくなったら嫌だなあ」…

第29話

隣の芝生は青い、のか。 言葉にすれば案外小さなことだ。好きな人に彼氏がいたり、出会いの形が悪かったり。その小ささすらも悲しい。俺にとっての宇宙、永遠、無限は、世界にとってはたったこれだけ。何十億人のうちの1人、何十億年のうちの一瞬、どんどん…

第28話

もうすぐハロウィンだ。俺も仮装したいな。エロいナースの格好するか。男だからドクターか。エロいドクターって完全にサイコ野郎じゃないか。 後輩から送られてきたESに 「あなたの人生のピークはいつだったと思いますか」 「あなたにとっての永遠の課題は何…

第27話

従姉妹が遊びに来た。近頃なかなかませてきて、俺の携帯のSNOWをずっといじってる。ちなみに俺のお気に入りは前髪と眼鏡が追加されるエフェクトだ。女の子になれる。 すごく楽しそうに盛り上がってたけど、俺は風邪を引いてたからうつさないように、一日中、…

第26話

相談を聞いたときに「友達には恵まれたなあ」的なことを言われると「あ、俺以外にも話せる人はいるのね、まあそりゃそうよね」と悲しくなる。俺だけかな。 朧月か。そういう日かな。

第25話

ずっと学校に行ってなかったから、居眠りの寝方すら忘れた。寝るたびに脇腹が痛くなる。スーツとトレンチコートを買ったらダウナーは吹き飛んだ。俺は単純だ。スーツのブランドには個性が出るらしい。確かに、俺はちょっと「ハズした」ブランドばっかりだ。…

第24話

夜勤、眠かった。同期が多くて比較的楽しかった。でも腰が痛かった、比較的。俺はいつも1Lパックで飲み物を持っていくのだけれど、何にするか迷っていたら10分くらい経っていた。時間があるのは良いことだ。月が綺麗だった。とても。月だけは、どう形容すれ…

第23話

どうやって書いてるの?と聞かれた。最近その手の質問が多い。メモはすることもあるけど、結局使わない。日記だから思いついたことは全部書く。日中考えたことは思い出せたら書く。文がコラム調だと言われたが、それは癖。ただ俺なりに、心の中の色と文の色…

第22話

幸せって何だろう。少なくとも上司からのメールで目覚めることではないだろうな。 ケーキを買って食べた。クリスマスケーキのことを考えていたら我慢できなくなった。とても美味しい。フランボワーズの酸味、ココナッツのどこか懐かしい風味、スポンジの量、…

第21話

「自分を愛さなきゃ他人も愛せない」がしっくりきた。寒い夜は好きだが朝は苦手だ。 昨晩、従姉妹や祖父母も含め、家族で夢を語り合った。俺だけ何もなくて「結婚したい、子供が欲しい」に逃げた。立派な夢だと褒められたがこれは目標ってやつだな。俺の夢は…

第20話

毛布を使い始めた。あったかい。気持ちいい。もちろん寝坊した。腰が痛い。横を向いて寝るのはやめよう。毛布は続行だ。 ブックオフでブルーレイ売り場を見ていたらX JAPANのブルーレイBOXを見つけた。でも3万円。うーん、迷う。明日の夜勤でも稼ぎきれない…

第19話

真実を見逃したくない。本当の楽しみはだいたい、遅れてやってくる。美味しい物を思い出すとき、初めに浮かぶのは一緒に食べた人の顔。そんな夜だ。 帰り道、タバコを吸う。俺がタバコを吸い始めた時の話をしよう。いや、面倒だからやめよう。要するに「何か…

第18話

昨日、内定式に出席した。みんな不安そうな顔をしていた。俺は新しいステージを前にしたとき、なんというか謎の自信に包まれる。社長や役員が登壇したときも「周りの奴らか俺かだったら俺だろうな」と確信していた。そんなことないんだけどな。まあ頑張るし…

第17話

テレビをつけた。毎日同じニュースだ。平和な証拠だね。時事ネタは風化するから書かないでおこう。 そろそろ卒業までにやることを、やり始めないと終わらないことに気付いた。整理しよう。 ・親にお金を返す→お金が貯まってから。 ・北海道に行く→お金が貯ま…

第16話

朝。アマゾンで買ったCDが届いた。端的に言うと最高だ。これで今日の授業も辛くない。5分で抜けて雀荘に行った。 帰り道、内定式に何を着ていくか考えていた。オシャレ番長でも目指していこうと思う。祖父からもらったタイピンがめちゃくちゃかっこいいから…

第15話

油そばを食べた。何年経っても美味いものは美味い。そのあと小さなカフェでコーヒー片手に友人のIQを測った。俺の方が高かった。ふっふっふ。 母校の体育祭を観た。若い。エネルギーがすごい。就活時、色んな人から「何かに全力になれるのは就活が最後だぞ」…

第14話

一日中麻雀をしてた。出来は上々だった。 久しぶりに雀荘に行くと、いつも頼んでいた飲み物すら忘れている。そうだ、いつもカフェオレ頼んでたんだ。 頼んだら生クリームが乗っていなかった。めちゃくちゃ使えない新人だったし、そもそも生クリームを乗せる…

第13話

久しぶりに、髪を切った。そういえば就活が終わってから、美容院には行ってなかった。報告をしたらすごく喜んでくれた。ボスには生まれる前からお世話になっている。若い頃の父の話をしてくれた。ハタチになったときは、母の話をしてくれた。うん、今日は幸…

第12話

朝が寒い。朝シャン族には辛い季節だ。弟の誕生日祝いがまだだった。ちょっと高いシャーペンをあげた。俺がニューバランスを買う金は、なくなった。まあいいや、嬉しそうだったし。大事に使えよ。バイト嫌だな。嫌すぎてビルに入れなかった。近くの公園まで…

第11話

眠れない。ジムに行ったから筋肉痛がひどい。平泳ぎしたら足がつりそうになった。あれ、思ってたより全然進まないのな。オリンピック観たあとに泳ぐのはだめだ。身体に悪い。そもそも25m泳ぐのって息がめちゃくちゃ苦しいな。小学校の頃、プールの授業が嫌だ…

第10話

イヤホンをしたまま寝ていた。昨日朝からアップルストアに並んだせいだな。楽しかったけど、後ろにいたカップルのイチャつきようが尋常じゃなかった。日が短くなった。秋が来る。やっぱり秋と冬が好きだ。春と夏は視覚的に寂しい。あと暑い。あと花粉症。最…

第9話 人間占い

ちょっと傲慢なことを考えた。 人は大抵二つのタイプに分けられる。常に何かを欲している人と、常に何かを守っている人だ。前者は欲しい物をあげれば、後者は大事な物を奪わなければ、良好な関係が築ける。便宜上、それぞれ「欲タイプ」「守タイプ」と呼ぶこ…

第8話

先日、シフトを取り消したはずの日に「今日入ってるけど、忘れてない?」という電話が来た。9月6日のことだ。万が一俺が勘違いをしていて、取り消したのが6日ではなく9日だとしたら、今日は休みのはず。でも入っていたら嫌なのでとりあえず職場に行った。 結…

第7話

TSUTAYAに行ってズートピアを借りてきた。あれは面白い。俺は主役のキツネに似てるって友達に言われた。ガラスのハートだからな。あと事変のCDも借りてきた。アメリカに一人で行ったときに聴いてたから、色んなことを思い出す。寂しかったのと楽しかったのが…

第6話

梨が美味い。 家の近くのラーメン屋に行った。「濃厚味噌」が最高に美味い。こってりなのにあっさりだ。矛盾してるけどこれが真理なんだ。ちょっと高いけど。それからクーポンでドリンク無料、餃子が半額だ。今は配ってないらしく、提示しても返してもらえる…

第5話 夜勤

朝5時、上司がハンコを捺す音で目が覚めた。まるでししおどしだ。風情があるじゃないか。こんな時間なのに忙しい。何があったんだ。「違う保険会社に入ってるけど、そこはほら、同じ保険会社なんだし横の繋がりでどうにかしてよ」と言われた。んな馬鹿な。お…

第4話

早起きをした。朝早く目が覚めただけなのだが、今日は夜勤だから(正確には夜勤明けの明日は起きてないようなものだから)、一日を長く過ごそうと思って起きた。コーヒーを飲んだら眠気が吹き飛んだ。頭もこれくらい単純だと助かる。母の職場に連れて行かれ…

第3話

朝からジムに行った。俺の筋肉量は並外れているらしい。そんな風に見えないよね。皮下脂肪もたくさんあるからなんだそう。要するにあれだ、男は見た目じゃない。中身だ。友達と喧嘩した。昨日の夜、母とも同じような喧嘩をした。俺の脳は「どうにもならない…